5.脊髄小脳変性症
孤発性ないし家族性で発症する進行性小脳失調症の総称(以下の8疾患に該当)。
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1)オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)
30〜50代発症がほとんどで、本邦で最も多い脊髄小脳変性症の一型である。歩行障害、発語障害が早期に現れ、進行に伴い錐体外路障害、自律神経障害(排尿障害や起立性低血庄など)を合併する。
画像検査で第4脳室の拡大、橋底、小脳の萎縮を認める。
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2)皮質性小脳萎縮症(CCA)
中年以降に発病し遺伝性はない。症状は小脳性運動失調が前景に現れるが、パーキンソン症候、自律神経症状が出現することはほとんどない。
CT・MRIで,小脳萎縮を認めるが、脳幹萎縮は認めない。
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3)Machado−Joseph病(MJD)
常染色体性優性遺伝を示す。歩行失調で始まり、四肢腱反射の亢進、眼振、言語障害を伴う。第14染色体長腕に遺伝子座をもつMJDl遺伝子内の異常が明らかになった。
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4)遺伝性オリーブ橋小脳萎縮症
臨床症状はOPCAと区別できず、常染色体優性遺伝を示すことで区別する。一部の家系で第6染色体長腕に遺伝子座をもつ遺伝子のCAGリピートに異常伸長(SCAl)、第12染色体長腕に遺伝子座をもつ(SCA2)ことが明らかとなった。
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5)遺伝性皮質性小脳萎縮症
常染色体優性遺伝を示す小脳変性症で頻度は稀である。症状は小脳性運動失調が前景に現れる。
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6)歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮(DRPLA)
優性遺伝形式を示し、発病は小児から高齢者まで幅広く分布し、発病年齢こよって臨床症状が異なる。症状は、小脳性運動失調、ミオクローヌス、アテトーゼ、ジストニアなどの不随意運動、さらに知能障害を有する。
第12染色体短腕に遺伝子座をもつ遺伝子内のCAGリピートに異常伸長があれば診断は確定する。
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7)遺伝性痙性対麻痺
南下肢の痙性麻痺を特徴とする遺伝性疾患であるが、孤発例もある。脊髄錐体路変性および後索変性が特徴である。
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8)Friedreich運動失調症
幼少期発症(常染色体劣性遺伝)の脊髄性運動失調を主とし、凹足、脊柱側彎、拡張型心筋症等を合併することが多い。主要症候は下肢優位の後索症候で、眼振、Romberg徴候、深部腱反射の消失、バビンスキー徴候陽性、筋萎縮を伴う。
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