介護保険と特定疾患その2

6.シャイ・ドレーガー症候群

 通常30〜60代に潜行性に発病する。中核症状は起立性低血圧で、めまい、失神に始まり、排尿障害、発汗低下、陰萎などの自律神経障害が加わる。
小脳症状、パーキンソン症状、筋萎縮等や睡眠時無呼吸発作等を生じる。

7.糖尿病性腎症・網膜症・神経障害

 長期の糖尿病(多くは5年以上)の細小血管合併症。
糖尿病性網膜症は非増殖性の無症状のものは除かれる。
糖尿病性神経障害では重症度判定表(自覚・他覚症状、F波)で4点以上。
糖尿病性腎症については、病期分類第2期(早期腎症:微量アルブミン尿)以上の所見が見られることが必須である。

  

8.閉塞性動脈硬化症

 全身の動脈硬化症に伴い腹部大動脈末梢側、四肢の主幹動脈、下肢の中等度の動脈等に閉塞が見られる場合である。
以下に示す1〜4度の状態のうち、2度以上に該当するもの。
 1度:冷感、しぴれ感
 2度:間歇性跛行
 3度:安静時痛
 4度:潰瘍、壊死

  

9.慢性閉塞性肺疾患

 慢性の気流閉塞を特徴とし、慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎が該当する。
慢性気管支炎は喀痰を伴う咳が慢性(1年に3か月以上続き、それが2か年以上にわたる)あるいは繰り返し起こるもの。
 ただし、特異的肺疾患、新生物、心疾患などによるものは除外される。
肺気腫はほとんど喫煙者で男性に多く、呼吸細気管支より末梢の肺胞の異常拡張を認める。
びまん性汎細気管支炎は呼吸細気管支領域のびまん性炎症により、強い呼吸障害を来す。
気管支喘息は発作性の呼吸困難、喘息、咳が、症状がない時期をはさんで反復する。気流制限は可逆的である。

  

10.両側の膝関節または股関節の著しい変形を伴う変形性関節症

 歩行時痛に始まり、次第に関節可動制限が出現する。
X線所見上、両側の膝関節に骨棘形成、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の骨硬化、骨嚢胞の形成等の著しい変形を伴い、日本整形外科学会変形性膝関節症治療成績判定基準に
おいて何らかの障害が認められるもの。

  

11.慢性関節リウマチ

 指の小関節から股・膝のような大開節まであらゆる関節に炎症が起こり、痛み、機能障害を来す。
自他覚症状5項目、臨床検査2項目で少なくとも4項目を満たすものが該当する。
症状は少なくとも6週間以上存在しなければならない。

  

12.後縦靭帯骨化症

 靭帯の骨化は頸稚に最も多く、脊髄の圧迫により手足の知覚障害(しぴれ感、痛み)、運動障害(病的反射出現等の痙性四肢麻痺)、膀胱直腸障害を生じ、脊柱の可動域制限を来す。
X線側面像において、後縦靭帯骨化症では椎体後縁に並行する骨化像を、黄色靭帯骨化症では脊柱管の後方部分で、椎弓間および椎間孔に骨化像を示す。

  

13.脊柱菅狭窄症

 何らかの原因により脊柱管が狭窄するため主として四肢・躯幹の痛み、しびれ、筋力低下運動障害、脊椎性間欠跛行、排尿・排便障害を呈し、次第に悪化して歩行困難となる。
上記症状と画像所見による脊椎管狭小化との間に因果関係を有するものが該当する。

  

14.骨折を伴う骨粗鬆症

 骨粗鬆症の珍断は症状および骨塩量、X線検査にて行う。
X線上の椎体骨折を認める場合、低骨量(骨萎縮度1度以上、あるいは骨塩量値が若年成人平均値(YAM)の80%以下)で非外傷性椎体骨折のあるもの。
X線上椎体骨折を認めか、場合は脊椎]線像にて骨萎縮2度、骨塩量値YAMの70%未満で診断する。

  

15.早老症(ウェルナー症候群等)

 ウェルナー症候群、プロジエリア症候群、コケイン症候群に該当する。
ウェルナー症候群は血族結婚に多く、若年者で早老性外貌(白髪、禿頭等)、白内障、皮膚の萎縮と硬化、筋肉・脂肪組織・骨の萎縮、血管・軟部組織の石灰化、性腺機能低下症、糖尿病、髄膜腫等を認める。

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